(1)集中力のアップ
マインドフルネスでは、瞑想を行うことが主流です。マインドフルネスの瞑想を行うことで、余計な考えを捨てることができるため、
今、目の前だけのことに集中できる力を養うことができるのです。
この瞑想は鍛錬を繰り返すことでより集中力を発揮できるとも言われており、継続的に瞑想を実施することでその効果はより高まっていくものとされています。
(2)セルフアウェアネス、セルフマネジメントの向上
セルフアウェアネスとは「自己認識能力」のことで、自身の感情は今どうなっているのか、長所や短所は何なのか、何を欲しているのかなど、自分の内面を見つめ、理解を深めることを言います。これらの能力を高めることで、自分の感情をコントロールできるようになるため、仕事のパフォーマンスも上がると言われています。
日常生活の中で、ひとつのことだけに集中できる時間はとても少ないものです。仕事をしていれば、次から次へと業務は降ってきますし、締め切りや仕事上のミッション、周りの機嫌や上長のコンディションなど、多くのことを抱えれば抱えるほど判断はブレ、仕事の効率も下がっていきます。
マインドフルネスの瞑想で内省を促し、自分のやるべきことをはっきりさせることで、業務効率を上げていくことが可能となるのです。
上記のような個人の効果が得られることで、組織全体としてもマインドフルネス瞑想の効果は波及していきます。
マインドフルネス瞑想によって個人のコンディションが上がることで、メンタルヘルスの発生率は減少し、それにより企業の労働力を安定させることができます。
また、瞑想で得られた集中力により、新しいアイデアが生まれやすくなったというケースもあります。
ではマインドフルネス瞑想の科学的エビデンスも一部ご紹介します。
これは、マサチューセッツ大学が開発した8週間のマインドフルネス瞑想法で得られた効果です。
(1)脳の肥大化・縮小
マインドフルネス瞑想法の後に、MRIを利用して脳を確認してみた結果、学習、記憶、感情制御、自意識などに関わる脳の多くの部分が肥大化、その一方で、脳の扁桃(へんとう)部分は縮小していました。扁桃は大きくなると危険察知や怒りの感情が生まれやすくなると言われています。
そのため、マインドフルネス瞑想を行うことで、感情の起伏を抑制して、気持ちを鎮めた状態になったのだと考えられます。
(2)脳内の神経活動の変化
こちらもMRIを使った検証で、マインドフルネス瞑想法の後には、「現在の自分の経験」に関わる神経活動が活性化する一方で、「自分のイメージ、過去や未来に関して空想すること」に関わる神経活動は低下しました。この結果から、マインドフルネスでの瞑想が「今、この瞬間」にしっかり集中できているということが証明されています。
(3)心理的ストレスを減らすことによる身体的症状の変化
この実験では、健康な肌に水ぶくれを意図的に作り、予めストレスを感じる状態にしたうえで、マインドフルネス瞑想法と、それとは別の健康促進プログラムを行い、変化の違いを調べました。その結果、マインドフルネス瞑想法を行った方が、水ぶくれが縮小したのです。
マインドフルネス瞑想を行うことで心が安定し、それにより、身体的な回復にも影響するということが、実験で証明されています。
このように、マインドフルネス瞑想は単なる精神論ではなく、科学的な根拠のあるプログラムだと理解いただけましたでしょうか?